(祭りの音)

パコー族の人々は山と森、そして水を頼りに暮らしています。水があるからこそ稲が育ち、畑が青々と茂り、村は平和に保たれます。アルオイ1村に住むレー・バン・カットさんは次のように話します。

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「今も昔ながらの習わしに従って、山の神と水の神を正しく祀っています。山の神を先に、水の神を後に祀るのは、山の神の方が位が高いからです。これは昔からずっと続いてきたことで、村が自らの手で、伝わる習わしと手順を守りながら行ってきました。」

水神祭は2部構成で行われます。まず地域のコミュニティセンターで大地の神「ザン・スー」への祭祀を執り行い、その後、川辺へと場を移して水神への祭祀を行います。供え物は山羊・鶏・渓流魚・黒もち米・山菜など、村人が自ら農作や狩猟によって得たものばかりです。人と自然の調和ある関係が、そのまま供え物に表れています。民俗芸能師のホー・バン・トイ氏は次のように語ります。

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「祭りの前には、子や孫たちに魚・ネズミ・山菜などを調達するよう手分けして頼みます。どれも日々の暮らしの中で使うものです。それらを揃えて神様にお供えし、感謝を捧げます。祭りの前には必要なものをすべてしっかり準備しなければなりません。まだ叶っていないことがあれば、これから必ず叶いますようにと、心を込めて祈ります。」

(パコー族の民謡)

祭りに先立ち、天地・川・水を司る最高神「ザン・スー」への祭祀を行うのには意味があります。「上を敬い、下を思いやる」――パコー族の精神世界に根づくこの価値観を、祭りの順序そのものが体現しているのです。

水神祭は、天地と神霊への感謝を捧げるとともに、豊作・村の平和・人々の豊かな暮らしを祈る場でもあります。民俗芸能師のホー・ティ・トゥー氏は、この祭りには和合と団結という深い意義があると語ります。

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「水神祭には、ザン・スー、山の神、川の神、水の神など、あらゆる神々が一堂に集います。神々にも、人間と同じように仲良く暮らしてほしい――そんな願いを込めています。同じ場所で共に在り、共に守り合うためには、団結し、愛し合い、分かち合うことが大切です。子孫たちが村みんなで催すこの祭りを通じて、そのことを伝え続けています。」

水神祭は今、文化の保全という枠を超え、地域の観光振興とも結びついています。フエ市文化スポーツ局副局長のグエン・ティエン・ビン氏は次のように述べています。

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「少数民族地域の文化遺産を保全・活用することは、フエ市の文化的な独自性を形づくる大切な要素です。私たちは今後も、伝統的な文化遺産の価値を観光振興に活かしながら、地域の人々の精神的・物質的な生活の向上に取り組んでいきます。」

山と水に寄り添いながら暮らしてきたパコー族の人々にとって、水神祭は単なる儀礼ではありません。自然への感謝、祖先への敬意、そして共同体の絆を確かめ合う、かけがえのない時間です。この祭りが次の世代へと受け継がれていくことは、パコー族の文化そのものを未来へつなぐことでもあります。