写真:VOV-Tây Nguyên
澄んだ水面に広がるハスやスイレン、そして豊かな動植物。その穏やかな風景の奥には、この土地が戦争の時代に住民を守り、自然の恵みによって何世代もの暮らしを支えてきた歴史があります。今回は、バウ・ダーという湿地林を訪ね、ホアティン村の人々が守りながら、新たな観光地としてその魅力を引き出そうとしている場所の物語を紹介します。
【現場の音】
数人が乗れるほどの小さなボートが、一定のリズムで櫓をこぎながら、ゆっくりと岸を離れ、バウ・ダーという湿地林へと向かいます。両側には、草の生い茂る小島や木々の茂った丘、そして大小の岩が、見え隠れしています。さらに遠くには、ハスやスイレンが水面いっぱいに広がっています。奥へ進むほど、バウ・ダーにはハスと水面だけではない、豊かな自然が広がっていることに気づきます。
地元の人々によりますと、この地域には今もサルや多くの種類の鳥、魚が生息しているほか、湿地に特徴的なマングローブの一種であるバンの木なども見られます。ホアティン村の住民は、次のように話します。
【テープ】
「バウ・ダー湿地の魅力は、サルや魚、鳥がいて、バンの木やハス、スイレンもあります。いろいろな種類の植物が見られます。ここは観光地としても、とても美しい場所です。最も美しい時期は、前年の12月から翌年の9月、10月ごろまでです」
写真: VOV-Tây Nguyên
しかし、バウ・ダーを本当に知るには、この土地で幼いころから暮らしてきた人々の話に耳を傾ける必要があります。今年で70歳を迎えるミー・ディエン地区のダオ・キム・トンさんは、今も水路の一つ一つ、森の一角一角を覚えています。トンさんにとって、そして多くの高齢者にとって、バウ・ダーは単なる湿地ではありません。それは、戦争の時代の記憶が刻まれた場所でもあります。ホアティン村ミー・ディエン地区のダオ・キム・トンさんは、当時をこう振り返ります。
【テープ】
「戦争から逃げていたころ、住民は船でここに入り、大きな木の枝の下に小屋を建てて避難していました。飛行機が見えると、茂みに入って隠れました。1963年、1964年ごろになると、私たちはこの湿地や山に逃げ込み、洞窟の中に身を隠していました」
景観、生態系、歴史、そして自然の恵み。一見すると別々に見えるこれらの要素が今、ホアティン村にとって新たな生計の源となろうとしています。それが、湿地林と結び付いたコミュニティ・ベーズド・ツーリズムです。ホアティン村の党委員会のフオン・バン・ライン委員長は、次のように話します。
【テープ】
「地元では、すでにバウ・ダー湿地林を体験する観光ツアーを試験的に実施しています。今後は、コミュニティ・ベースの観光を発展させる計画を策定し、地域観光協同組合の設立を目指します。地元の住民が、観光事業に直接参加することになります」
この構想は、バウ・ダーのすぐそばで暮らす住民からも歓迎されています。
【テープ】
「ここに住む人たちが、それぞれの家でボートを一艘ずつ用意して、観光客を乗せて観光を行うようにしたいです。観光ツアーの中で、そうした活動をしていきたいです」
こうした取り組みが本格的に進めば、ダクラク省ホアティン村の住民は、単に森のそばで暮らす人々ではなく、自らボートをこぎ、自分たちの故郷の物語を語る担い手になることができます。








