チャウ・ティ和上(写真:Ngọc Anh/VOV5 ) |
ベトナム南部アンザン省のソアイソー寺で住職を務めるチャウ・ティ和上(法名:カイン・デック・コー)は、1960年に出家し、1985年から現在までこの寺を支え続けています。和上はアンザン省におけるクメール・南伝仏教コミュニティで最高齢の僧侶であり、地域社会で絶大な信頼と影響力を持つ人物です。
ソアイソー寺での儀式の様子 |
少数民族クメール族出身のチャウ・ティ和上は1941年3月15日生まれ、ベトナム仏教教会の発展に対する多大な貢献が認められ、2022年11月には同教会証明評議会の副法主に選出されました。和上は副法主という要職にあって、南伝仏教と北伝仏教の結束、さらには仏教と他の宗教、クメール族と他の民族との架け橋として尽力しています。
和上の通訳兼助手を務めるキム・ソム・リー・ティさんは、次のように明らかにしました。
(テープ)
「地元のクメール族の人々はチャウ・ティ和上を尊敬しています。和上は、信徒への儀式の指導だけでなく、人々の生活にも細やかに心を配っています。特に、コウリバヤシというヤシ科の植物の葉にお経を刻む『貝葉経(ばいようきょう)』の技法など、クメール族の伝統文化の保存に大きな役割を果たしています」
クメール族の言葉、クメール語の継承を重視する和上は、毎年夏休みになると、ソアイソー寺で子供たちのための無料のクメール語教室を開いています。また、慈善家から支援を募り、貧しい学生に学用品を贈る活動も続けてきました。こうした社会活動や和上の徳を慕い、ソアイソー寺は現在、多くの信徒や観光客が訪れる有名な目的地となっています。
地元の住民であるチャウ・ニョさんは次のように述べています。
(テープ)
「和上は慈善活動を通じて貧しい人々を助け、法を遵守するよう導いてくれます。その言葉には重みがあり、誰もが信頼を寄せています」
貝葉経 |
2017年、アンザン省在住のクメール族に伝わる「貝葉経の筆記知識と技術」は、ベトナムの国家無形文化遺産に認定されました。この成果には、チャウ・ティ和上の積極的な貢献がありました。
貝葉経はクメール・南伝仏教の極めて貴重な伝統文書ですが、現在、アンザン省でこの刻字技術に精通しているのは和上ただ一人となっています。和上は弟子たちにその秘訣を伝授していますが、習得には非常に高い技術を要するため、継承者はわずかです。貝葉経には仏教の教えだけでなく、民話や風習、クメール族の精神性が刻まれています。
和上は自身の活動について、次のように明らかにしました。
(テープ)
「1964年から貝葉経の制作に携わってきました。私が刻んだ経典の多くは、省内の多くの寺院で大切に保管されています。貝葉経に刻まれた仏教の教義は、重要な儀式で僧侶たちが説法を行う際に用いられます。この技術を学ぶのは非常に困難で、情熱と高い素養が求められます。現在、材料となる葉や道具の多くはカンボジアから取り寄せています。葉の下処理から墨作り、刻字まで多くの工程があり、誰にでもできることではありませんが、これこそがクメール族の誇るべき文化なのです」
その功績により、和上は2015年に「優秀芸術家」、2019年には「人民芸術家」の称号を国家から授与されました。チャウ・ティ和上は、仏教界、地方行政府、そして住民を繋ぐ重要な役割を果たしながら、平和で幸福な集落の構築に今も貢献し続けています。