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インダストリー4.0のプラットフォームで守る「貝葉経」の魂

2026/4/21 | 17:00:00
(VOVWORLD) -コウリバヤシというヤシ科の植物の葉にお経を刻む『貝葉経』の技法は19世紀半ばにベトナム南部に現れました。これは、少数民族クメール族の文化、技術、芸術、そして信仰心を象徴しています。
コウリバヤシというヤシ科の植物の葉にお経を刻む『貝葉経』

カナダ地方イニシアチブ基金(CFLI)の支援を受け、メコンデルタ地方で2025年から「貝葉経のデジタル化プロジェクト」が始動しました。現代社会の中で失われつつあるこの貴重な文化遺産を、デジタルの力で蘇らせる新たな挑戦が続いています。

コウリバヤシというヤシ科の植物の葉にお経を刻む『貝葉経』の技法は19世紀半ばにベトナム南部に現れました。これは、少数民族クメール族の文化、技術、芸術、そして信仰心を象徴しています。しかし現在、環境の変化による劣化や、葉に文字を刻む伝統技術の途絶が深刻な課題となっています。

南部クメール言語・文化・芸術・人文学院のフイン・サン副事務局長は、デジタル化の重要性を強調しながらも、機材不足などの困難に直面している現状を明かしました。    

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「プロジェクトにはチャビン大学の専門家チームに加え、各地の寺院の僧侶や、ビンロン省パーリ・クメール文化補習学校の教師らが参加し、官民一体となって進められています。作業工程は、単なる撮影に留まりません。専用の撮影台を改良し、撮影後の画像処理、接合、順序の再構成を経て、完全なデータベースを構築します。最終的には専用のウェブサイトを立ち上げ、広く世界に公開する計画です」

調査の結果、これまでに1300冊以上、約6万ページに及ぶ貝葉経が収集されました。そのうち84.4%に文字が記されており、内容は経蔵、律蔵、教訓、文法など13もの分野にわたります。

同学院のゴー・ソー・ピア博士は、このデジタル資料の価値を次のように述べています。  

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「最大の目的は、先祖が残した貴重な遺産を保存することです。デジタル化により、若い世代や研究者が古文書に容易にアクセスできるようになります。古い言語と現代語を比較研究することで、クメール文化への理解が深まるだけでなく、IT技術の活用が文化の持続可能な保存と普及につながります」

デジタル化作業の工程として、まず、貝葉経の識別・分類を行い、各経典の内容を要約します。その後、撮影によるデータベースの構築を進め、撮影完了後に照明の調整、補正、トリミング、およびデータの整理・保存を行います。デジタルプラットフォーム上での保存に加え、一部の寺院では、若年層への伝統知識の伝承に注力しています。

アンザン省チトン県ソアイソー寺院で貝葉経へのクメール文字刻印を教えるキム・ソム・リ・ティ氏は、読書や刻印の習慣を維持することは、学習者が古文字の音韻や書法を深く理解するだけでなく、先祖が経典に込めた道徳的価値観や人生哲学に触れる一助になると述べています。

(テープ)
「この貝葉経への刻印に情熱を注ぎ、自らも学んできた者として、次世代の若者たちが古クメール文字の刻印や研究に対し、より強い関心を持ってくれることを切に願っています。同時に、貝葉経の加工技術や、先祖が遺した経典そのものについても理解を深めてほしいと考えています」

デジタル化と伝統保存の両輪による取り組みは、貝葉経という「文化の宝庫」を守り、呼び覚ますための多様な道を切り開いています。かつて木製の棚に静かに眠っていた先人の文化的価値や知識は、今や広い世界へと踏み出し、地域社会、とりわけ若い世代にとってより身近なものとなりました。こうした努力が、民族の文化的アイデンティティを永遠に守り抜く一助となっています。

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