フン王祭り――ベトナム人が祖先に捧げる感謝の旅
25/04/2026 08:00
[VOVWORLD] - フン王廟は今や、単なる史跡ではありません。ベトナムの人々にとって深い精神的象徴であり、伝統儀礼の荘厳さと、多彩な文化が一堂に会する祭りの賑わいが共存する場です。

「どこへ行こうとも、旧暦3月10日の祖先の命日を忘れるな」 ベトナムに古くから伝わるこの民謡の一節は、単なる日付の言い伝えではありません。何百万というベトナムの人々の心の奥に深く刻まれた、民族の大祭への思いです。旧暦3月、北部フート省の聖地ギアリン山は、民族大団結の精神が集う場へと変わります。 25.4-pst7-anh_2.jpg 参拝者の流れ (録音)参拝者の足音・話し声 早朝から、巡礼の列がギアリン山の麓から山頂のトゥオン廟まで続きます。フン王を祀るこの廟は、ベトナム最初の国家、ヴァン・ラン国を建てた王たちへの祈りの場です。 本祭りは旧暦3月10日にあたる4月26日ですが、多くの人が静かに感謝を捧げようと、前日から足を運んでいます。年齢も出身地も問わず、誰もが深い敬意を持って祖先へと心を向けています。 近隣の省だけでなく、中部フエや南部の遠い地、北部国境の山岳地帯から、長い道のりを越えてきた人々も数多くいます。 (録音) (男性) 「前日の夜中12時に出発して、着いたのは朝5時でした。ここに来たら興奮して、疲れなんて全部吹き飛んでしまいました。」 (録音) (女性) 「フエからここまで来ました。祖先の地に帰ってきたんです。フン王に感謝の一線香を捧げられることを、とても温かく、誇らしく思っています。」 フン王廟は今や、単なる史跡ではありません。ベトナムの人々にとって深い精神的象徴であり、伝統儀礼の荘厳さと、多彩な文化が一堂に会する祭りの賑わいが共存する場です。 (録音) 鐘の音 ベトナムの神話では、すべての民の子は母オウ・コーが産んだ百の卵の袋から 生まれたとされています。その神話が育んできた同胞愛と民族の絆は、今もこの地で確かに息づいています。 (録音) (男性) 「ここに集まるみんなの目と笑顔を見ていると、民族を問わず、まるで一つの家族のようで、本当に温かい気持ちになります。」 25.4-pst7-anh_3.jpg 省内の各地区・村の代表がフン王に献香。 祖先の地を訪れる人の波の中には、世界各地から帰還した在外ベトナム人の姿もあります。山頂のキン・ティエン殿へと続く500段の石段を登ることは、彼らにとってこの上なく神聖な体験です。 (録音) (男性) 「キン・ティエン殿に足を踏み入れ、心からの一線香を捧げられたことを、本当に幸運に思っています。これは在外ベトナム人にとって、とても神聖なことです。」 「水を飲む者は源を忘れるな」。地理的な距離があろうとも、文化とルーツという絆が人々をこの地へと導き続けます。 「建国の祖」フン王を偲ぶ祭りは過去を偲ぶだけの日ではなく、国土を守る責任と、強く豊かな国への願いをあらためて胸に刻む日でもあります。 「人には祖先があり、木には根があり、川には源がある」という諺のとおり、この神聖な感謝の旅は、ベトナム民族の「恩を忘れない」という精神を体現する、美しい文化的営みとして、これからも受け継がれていきます。
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