ガーさん |
その代表的なプロジェクトの一つが、若きデザイナー、グエン・ティ・ガーさんが22人のメンバーと共に率いる「ヴァン・ティエン・イ(Vạn Thiên Y)」です。同グループは、伝統衣装の魅力を国内外に広めるため、精力的に活動を続けています。
「ヴァン・ティエン・イー」によるベトナム伝統衣装ファッションショー
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ガーさんは、伝統衣装への探求を始めたきっかけについて次のように明らかにしました。
(テープ)
「ファッションデザインを学んでいた際、世界ファッションの歴史に触れ、『では、ベトナム衣装の歴史とはどのようなものだろうか』と疑問を抱きました。当時はアオザイのことしか知らず、映画や娯楽作品を通じても、それがどの時代のものか、どのような意味を持ち、誰が着用していたのかといった深い知識に触れる機会はほとんどありませんでした。だからこそ、伝統衣装を根本から学び、それを基に新たな創造へと繋げたいと考えたのです」
大阪・関西万博で ベトナム 伝統衣装ショーが初開催 |
大学時代からベトナムの伝統衣装に強い関心を寄せていたガーさんは、昔の宮廷衣装の文様やデザインを復元し、多くの人に知ってもらうための活動を始めました。そして2022年、友人らと共にベトナムの伝統衣装復元に特化したファッション企業「ヴァン・ティエン・イ」を設立しました。メンバーはそれぞれ異なる強みを持ちながらも、伝統衣装に若者らしい感性と情熱を吹き込んでいます。
(テープ)
「私たちは皆、ベトナムの伝統衣装に対して共通の情熱を持っています。まずは若者が集まって知識を共有し、文化的な価値を持つ仕事に真剣に取り組むことから始めました。デザインの際には、伝統的な文様や民族的なモチーフを常に取り入れています。伝統衣装の復元は、私たちの使命の一部です」
伝統衣装の復元において、歴史的正確性は最も重要な要素です。しかし、資料の乏しさが大きな壁となります。古書だけでは不十分なため、各地を巡り、像や絵画などの関連資料を丹念に調査し、時代考証や形状の特定を行ってきました。
一つの衣装を完成させるには、製織、染色、乾燥、型取り、裁断・縫製という5つの工程を要します。生地には主に生糸や手織りのシルクが使用され、着用時のシルエットの美しさと、衣装としての威厳を両立させています。
同社の研究開発責任者であるグエン・ヴァン・ヒエウさんは、次のように明らかにしました。
(テープ)
「最も困難を極めた研究の一つが、バクニン省ブッタップ寺にあるチン・ティ・ゴック・コー郡主の像を基にした衣装の復元でした。フィールドワークや調査には多くの困難が伴いましたが、ガーさんは常に現場を共にしました。絵画や彫刻といった資料は抽象的な表現も多いため、試作を何度も重ね、彼女の経験に基づいた正確な裁断と縫製によってようやく完成に至りました」
こうした努力が実を結び、同社の製品は国内外の舞台や文化イベントで高く評価されています。広報・デジタルコンテンツ責任者のゴ・クイン・ザオさんは、これまでの成果について述べました。
(テープ)
「大阪万博(Expo Osaka)でのイベントは、私たちが海外で開催した最大規模の催しでした。ガーさんの指導の下、コンセプト構築から日本でのショーまで一貫して取り組み、ベトナムの歴史文化を物語として伝えました。その結果、来場者から大きな注目を集めることができました」
アオザイがレッドカーペットを彩り、伝統衣装が街中を歩み、一針一針に込められたベトナムの文化が語られるとき、民族のアイデンティティは単に保存されるだけでなく、文化産業の流れの中で力強く息づき、広がっていくのです。