これは、国際社会におけるベトナムの地位と経済競争力を一層高めるための画期的な取り組みです。この新たな政策は、日本や韓国といった主要な投資国との協力関係の深化をも促進する「黄金のチャンス」となっており、両国との経済連携のさらなる強化が期待されています。
人材確保が「飛躍の時代」へ向けた国家戦略の中心
地政学的、経済的に不確実性が増すなか、ベトナムは今、大きな転換点を迎えています。ベトナムは低コスト型の経済モデルから、科学技術、イノベーション、高い付加価値を軸とした成長モデルへの転換という国家戦略を展開しています。この戦略を実施するため、外国からの資金と高品質の人材の誘致は最優先課題となっています。
優秀な人材を国内に呼び込み、定着させるため、ベトナム政府は政令221号を発布しました。この政令は、経済社会の発展に寄与する特別な外国人に対し、一定期間のビザ免除を認めるものです。
ベトナム・韓国経済フォーラムで演説を行ったトー・ラム書記長 |
去る8月12日、韓国で開催されたベトナム・韓国経済フォーラムで演説を行った際、トー・ラム書記長は、ベトナムの人材育成政策について次のように述べました。
(テープ)
「人間がいなければ、科学技術は存在し得ません。科学技術がどんなに進歩しても、最も重要なのは人間です。科学技術分野における人材は極めて重要であり、大学、研究所、アカデミーは、国内外の科学者を心から歓迎しています。とりわけ、海外に在留しているベトナム人科学者も大切にしているほか、国際的な協力を極めて重視しています。」
越日・越韓協力のさらなる強化へ向けた「黄金のチャンス」
ここ数年、ベトナムと日本、そして、ベトナムと韓国との投資関係は著しい発展を遂げており、これに伴って労働力の交流と協力も一層重要性を増しています。
現在、韓国はベトナムで総額およそ940億ドルを投資しており、その投資プロジェクト数は1万203件を記録し、ベトナム最大の外国直接投資国となっています。韓国企業の投資は主に重工業や電子、半導体、エネルギーなどの先端技術分野に集中しています。また、2024年末現在、ベトナム国内で働いている外国人労働者数が約16万2千人にのぼっており、そのうち、韓国人労働者は18.3%を占めています。
一方、日本はベトナムの3番目の大きな投資国であり、今年7月末現在、日本がベトナムで実施している投資プロジェクト数は5000件で、その投資総額は790億ドルに達しています。
8月12日に行われた日本企業との座談会に参加したファム・ミン・チン首相 |
日本からの投資は、製造業にとどまらず、サービス、金融、医療分野などにも広がりを見せています。ベトナムで働いている外国人労働者全体のうち、日本人労働者は約9.5%を占めています。去る8月12日に行われた日本企業との座談会で、ファム・ミン・チン首相は、今後の協力方針について次のように述べました。
(テープ)
「日本側がエネルギーインフラの整備や、税制・優遇政策に関する提案を積極的に示してくれていることを歓迎します。今後も、日本がFDI関連の課題、資金調達、そして次世代ODAプロジェクトの推進などの分野で、ベトナムと共に歩んでいくことを望んでいます。」
ベトナム政府の政令221号の公布を受け、日本および韓国のメディアがこの政策に強い関心を示しています。日本のニュースサイトVietjoは、同政令を詳細に分析し、これをいわゆる「ゴールデンビザ」と伝えるとともに、マレーシアやシンガポールなど他の東南アジア諸国の類似政策と比較したうえで、その戦略性を紹介しています。
一方、韓国のメディアは、「エリートビザ」という表現を用い、同政策をベトナムのマクロ経済成長戦略とつながるものとして評価しました。また、ニュースサイトInsideVinaは、この政策が半導体やデジタルテクノロジーなどの先端産業における優秀人材の誘致を狙うものであると同時に、高級観光と投資促進の推進策としても重要であると伝えています。
このように、政令第221号は単なる行政手続きの改革ではなく、ベトナムの経済外交戦略における重要なピースとして位置づけられています。この政令は外国人資源の誘致という直接的な目的だけでなく、日本・韓国との「包括的戦略的パートナーシップ」の深化に向けた強い政治的意思を象徴する政策でもあります。この政令は、今後の日越・韓越関係にとって、重要な転換点となることが期待されています。