カテー祭りの食文化 ~チャム族の祈りと料理~
13/04/2026 08:00
[VOVWORLD] - ベトナム中南部に暮らすチャム族。彼らには一年を通じてさまざまな祭りや供養の風習がありますが、なかでも最大の祭りが「カテー」です。チャム族の伝統的な暦で7月初め、バラモン教を信仰するチャム族が集まるラムドン省とカインホア省では、この時期になると祭りの準備で村全体が活気づきます。
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smdt-anh_1_44.jpg カテー祭りの先祖供養。 カテー祭りは、先人たちの功績を偲び、神々への感謝を捧げる場。祭りは塔廟での儀式から始まり、村へ、そして各家庭へと、順を追って執り行われていきます。 (カテー祭りの音) このカテー祭りで欠かせないのが、料理の供え物です。 チャム族の食文化は、古くから祭祀と深く結びついてきました。料理人たちは祭りの日に向けて腕を振るい、チャム族ならではの味を丁寧に作り上げていきます。 祭りの席に必ず並ぶのは、ご飯、淡水魚と野菜のスープ、茹で鶏、果物、酒、お茶、もち米、バナナ。そして欠かせないのが、伝統的な菓子の数々です。生姜菓子、バインテット、バインイット、そしてバインサカヤと呼ばれるプリン状の菓子など、代々受け継がれてきたものばかりです。 なかでも、生姜菓子はチャム族の祭りを語るうえで外せない一品です。シンプルな材料の中に、先祖への思いが丁寧に込められたお菓子です。 SMDT--Anh 2 (43).jpg カテー祭りで供えられるチャム族の伝統菓子。 ラムドン省に暮らすグエン・ティ・サンさんは、その作り方を次のように教えてくれました。 (テープ) 「伝統的なお正月には生姜菓子が欠かせません。材料は卵、もち米の粉、そして砂糖。生姜とバニラを加えることで、あの独特のいい香りが生まれます。何があっても、先祖へのお供えに生姜菓子だけは欠かせません。」 お菓子のほか、チャム族ならではのおかずも多様です。同じくラムドン省のヴァン・ティ・キム・タインさんの話です。 (テープ) 「菓子だけで10皿、おかずも10皿。スープに焼き魚、煮魚、鶏のスープ、そしてご飯。これが祭りの基本の膳です。今はチャム族の暮らしも豊かになりましたから、カレーや鴨料理を加える家も出てきました。でも、基本の料理だけは、どの家でも必ず揃えます。」 時代が変わっても、受け継がれてきた献立の形は変わりません。そこにチャム族の人々の、祖先への敬意が表れています。 一方、塔廟での神事にのみ許される特別な料理もあります。茹でヤギとバナナの花のサラダを添えたヤギ肉スープです。この料理は神殿でのみ捧げられるものとされており、各家庭の祭りでは供えることができません。神々と日常の暮らし、その境界線を守ることもまた、チャム族の信仰の一部なのです。 smdt-anh_3_21.jpg 生姜菓子作りは、ベテラン女性たちの担当。 供え物の並べ方にも、深い意味が込められています。 ラムドン省のラム・タン・ビンさんは次のように語ります。 (テープ) 「チャム族の供え物には段階的な考え方があります。チャム語で『タペイ・ヌン・ラ・サカヤ・アンガオク』と呼ばれる飾り方で、とても美しく芸術的に並べられます。丸い形のサカヤは大地のように女性の象徴。長い形のタペイ・ヌンは男性の象徴ですが、下に置かれます。チャム族は母系社会。女性の貞節を称え、男性は支える存在として、この並べ方に表されているんです。」 料理の盛り付けひとつに、チャム族の世界観と家族への思いが映し出されています。 カテー祭りの供え物はすべて、ある共通の願いのもとに作られています。それは、神々や天地の加護を願うこと、そして祖先への感謝を伝えること。 ベトナムには「水を飲む者はその源を忘れない」という言葉があります。チャム族の人々が毎年丹精込めて料理を作り、先祖の前に供える姿には、この言葉がそのまま生きているように思えます。 塔廟に響く祈りの声、家々から漂う料理の香り。カテー祭りは今もなお、チャム族の人々の手によって、丁寧に受け継がれています。
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