「決議57号が問うもの――ベトナム、イノベーション実行力の時代へ」
12/04/2026 08:00
[VOVWORLD] - ベトナムが、大きな転換点を迎えています。 ベトナム共産党政治局が打ち出した「決議57号」。科学・技術、イノベーション、そしてデジタル転換を、成長の核心に据えるこの方針は、単なる政策文書にとどまりません。問われているのは、「どんな技術を持つか」ではなく、「技術を社会・企業・行政に根付かせる土台を、どれだけ整えられるか」です。

1204_dba_anh_1.jpg チャン・クオック・フオン次官 その土台づくりに向け、日本との連携が新たな局面を迎えています。 ベトナム財務省のチャン・クオック・フオン次官は、ODA政府開発援助による協力を次の段階へと引き上げる考えを明らかにしました。 (テープ) 「近く、科学・技術分野における新世代ODAパッケージの展開で、日本との協力を継続する予定です。新世代融資を柔軟かつ効果的、そして迅速に活用できるよう、日本をはじめパートナー各国にも伴走をお願いしたいと思います」 注目すべきは、資金の規模よりも「仕組みのスピード」を重視している点です。イノベーションは掛け声だけでは動きません。試行し、投資し、応用する――そのサイクルを支えられるだけの政策の機動力が、今まさに求められています。 しかし、どれほど優れた制度があっても、動かすのは結局、人です。 JICA国際協力機構ベトナム事務所の小林洋輔所長は、人材育成こそが日越協力の戦略軸だと強調します。 (日本語のテープ) 1204_dba_anh_2.jpg 小林洋輔所長 「まずはじめに、科学技術イノベーション促進ですけれども、この分野では、まず日本とベトナムの友好関係の象徴である日越大学を軸に協力を進めていきます。一例として、熊本大学の元副学長である宇佐川先生の協力を得て、9月、日越大学において半導体分野の学士コースを設置するのを支援しました。日本、ベトナムの様々なステークホルダーによる取り組みとの相乗効果を意識しながら、ベトナム全体の半導体教育のエコシステムの構築・強化に引き続き協力してまいります」 一つの学部を開くのではなく、国全体の教育エコシステムをつくる――この発想は、決議57号が求める「技術と人材の一体的な発展」に、まさに重なります。 現場の反応は、想像以上でした。日越大学の半導体学科への出願者数は、当初の定員をはるかに超えたといいます。ベトナムの若者たちが、先端技術への強い意欲を持っていることが、数字として表れています。 韓国も、独自のアプローチでベトナムの知識経済化を後押ししています。 KOICA韓国国際協力団ベトナム事務所のソン・ウンウィ副所長によりますと、現在の4つの協力プログラムのうち、最優先に位置づけているのが、科学・技術と人材開発を通じた国家イノベーション・エコシステムの強化です。ベトナム韓国科学技術研究院の設立支援、AIや半導体、先端材料などの共同研究、さらには行政のデジタル化支援まで――韓国は制度の「ハード」と「ソフト」の両面に関わっています。 では、企業はベトナムをどう見ているのか。 韓国のユルチョン法律事務所ベトナム支所のイ・ホンべ所長は、率直に語ります。 (テープ) 「企業がベトナムを選ぶ最大の理由の一つは、政治的な安定です。加えて、改革・開放に向けた政府の一貫した姿勢が、投資家に明確なシグナルを送っています」 1204_dba_anh_3.jpg ベトナム韓国科学技術研究院 この言葉は重要な示唆を含んでいます。決議57号は技術の話であると同時に、行政の質、政策の継続性、そして企業が「ここに賭けてみよう」と思える信頼の話でもあるのです。 マクロの視点からも、ベトナムの変化は加速しています。 ハノイ首都名誉市民でもある韓国人教授のアン・キョンファン氏は、三つの動きに注目します。2025年3月、省庁を18から14に再編して行政を効率化したこと。63あった省レベル行政単位を34に統合したこと。そして、南北高速道路の整備、原子力発電の再始動、国際鉄道の接続推進――インフラへの大規模な投資です。アン教授はこれらを、「二桁成長を目指すベトナムの意志の表れ」と評しています。 財源、政策の柔軟性、インフラ、人材、研究力、行政の質、投資家の信頼――決議57号が問うているのは、これらすべてをつなぐ「実行の連鎖」です。 日本と韓国は今、その連鎖を共につくるパートナーとして、ベトナムに寄り添っています。イノベーションが、言葉ではなく現実の力になる日へ向けて。
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