まず、韓国との関係について見てみましょう。
イ・ジェミョン韓国大統領は4月21日から24日にかけてベトナムを訪問し、両国関係に新たな動きをもたらしました。最大の焦点となったのが、ベトナムによる原子力エネルギー開発の再検討です。ベトナムは、増大する電力需要に応えるため、かつて凍結した原子力発電所の建設計画を正式に見直す方針を打ち出しました。次世代炉技術で高い競争力を誇る韓国は、この分野で強力な支援を表明しています。
具体的には、ベトナム石油ガスグループと韓国電力公社が、原子力発電所の実現可能性調査とロードマップ策定に向けた覚書を締結しました。さらに、両国の企業・金融機関による4者連合が発足し、巨大な投資資金の確保に向けた枠組みが整えられました。
トー・ラム書記長・国家主席との会談後、イ・ジェミョン大統領は次のように述べました。
(テープ)
「両国はエネルギーインフラ分野における戦略的協力の強化で合意しました。中東情勢に起因するサプライチェーンの不安定化を踏まえ、エネルギー安全保障の強化とサプライチェーンの安定確保に向け、両国が緊密に連携することを誓約しました。」
覚書の調印式に立ち会った
トー・ラム書記長・国家主席とイ・ジェミョン大統領
また韓国のSKグループは、ベトナム中部ゲアン省のクインラップLNG火力発電所プロジェクトにおいて、貯蔵・港湾施設からデータセンターまでを一体的に整備する「産業・エネルギークラスター」モデルを推進しています。電力インフラを先行整備することで、ベトナムへのテクノロジー系投資の誘致促進にも貢献することが期待されています。
続いて、日本との関係についてです。
高市早苗首相は5月初旬にベトナムを訪問し、エネルギー分野での協力を大きく前進させました。日本はアジア・ゼロエミッション共同体、いわゆるAZEC 2.0のイニシアチブのもと、ベトナムの持続可能なエネルギー転換を長期的に支援する姿勢を鮮明にしています。
高市首相はこの訪問で、ベトナムを含むアジア諸国の電力供給源の多様化と石炭火力からクリーンエネルギーへの転換を支援するための、総額100億ドルにのぼる支援パッケージを発表しました。
また日本は、ベトナム国内のガソリン・燃料需要の3割以上を賄うギーソン石油化学コンビナートへの安定した原油供給を確保するため、影響力を積極的に活用する方針を示しました。海上輸送の途絶リスクが高まるなか、この取り組みはベトナムのエネルギー安全保障にとって重要な意味を持ちます。
さらに両国は、省エネ技術・低排出技術・水素分野での技術移転推進でも合意しました。これはベトナムの脱炭素化を後押しするとともに、日本企業による質の高い直接投資の拡大にもつながるものです。
レー・ミン・フン首相との会談で高市首相は、原子力やガス火力を含むエネルギープロジェクトの協力を具体化し、アジア・エネルギー・資源強靭性パートナーシップなど日本主導の地域イニシアチブの枠組みのもとで連携を深めていく考えを強調しました。
この2か月間の外交の動きを振り返ると、ベトナムが韓国の先進的な原子力技術と、日本の持続可能なグリーン転換に向けた金融支援を組み合わせながら、エネルギー自立に向けた着実な歩みを進めていることがわかります。グローバルな課題を自国の強化につなげるこの戦略的なアプローチは、ベトナムが新時代のアジアにおける持続可能なエネルギー大国へと成長しようとしていることを示しています。








