土と人の物語――ランソン省に受け継がれるカボチャ餅
27/04/2026 08:00
[VOVWORLD] - ベトナム北部、ランソン省のヒューリエン村。この村に暮らすテイ族の人々には、百年もの昔から受け継がれてきた餅があります。カボチャ餅、現地の言葉で「ジョー・バウ」と呼ばれるその餅は、派手さとは無縁の、土と人の物語を静かに語る一品です。

vov5_smdt-anh_2_13.jpg 材料はシンプル。蒸したカボチャともち米粉を混ぜるだけ。 (録音)餅を作る音 材料はごく単純です。カボチャともち米粉、それだけです。村の高地に広がる畑で育ったカボチャが自然に熟れ、皮が深い色に変わる頃、村人は収穫します。皮をむいて切り分け、薪火のかまどでじっくりと蒸し上げる。柔らかくなったところを手や木の杵でなめらかにつぶし、もち米粉と丁寧に混ぜ合わせていきます。計量器は使いません。分量の目安は、代々受け継がれた手の感覚と経験だけです。 この村でカボチャ餅作りに長年携わってきたロー・トゥ・フオンさんに話を聞きました。 (録音) 「カボチャ餅に餡は入れません。蒸したカボチャをもち米粉と混ぜるだけです。カボチャは良いものを選ぶことが大事で、弾力があって粉っぽくないものでないといけません。表面がなめらかな実を選んで、蒸してからよくつぶして、もち米粉と合わせます。甘くしたい場合は砂糖を足すこともできます。伝統的な作り方ではバナナの葉に包んで蒸します。蒸し時間は1時間から1時間半ほどです。」 VOV5_SMDT--Anh 1 (12).jpg ヒューリエン村のテイ族の特産品、カボチャ餅 フオンさんが言うように、餡は一切入れません。カボチャそのものの甘みと香りが、この餅の命です。成形した餅はバナナの葉に包んで蒸し上げるか、油を引いたフライパンで焼いて仕上げます。蒸せばしっとりやわらか、焼けば外はこんがり、中はもちもちとした二つの顔を持ちます。 餅が蒸し上がると、カボチャの甘い香りともち米の香りが台所いっぱいに広がります。その香りは食欲をかき立てるだけでなく、村での記憶、過ぎ去った農繁期の日々の記憶を、そっと呼び覚ますと言います。 先日、ハノイからこの村を訪れたグエン・タイン・ダンさんとタイン・ホンさんは、カボチャ餅を初めて口にした感想を次のように語りました。 (録音) 「とても美味しいです。ハノイのお餅より少し歯ごたえがあって、食べるとカボチャのほのかな甘みと香りが感じられます。甘さがちょうどよくて、とても風味豊かです。」 (録音) 「最初はハノイのお餅みたいだと思いましたが、食べてみるとカボチャの甘みがあって、砂糖も少し入っているんですね。それに食べても手にまったくくっつかないんです。」 vov5_smdt-anh_4_2.jpg カボチャ餅作りを体験する観光客。 現代の暮らしの中で、多くの伝統料理が姿を消しつつあります。しかしヒューリエン村のカボチャ餅は、村人の日々の食卓で今も大切に作られ続けています。テイ族の人々にとって、この餅は単なる食べ物ではありません。森の大地が与えてくれるものを一切無駄にしない、自然と共に生きる暮らしの知恵の結晶。そして、ランソンの地に息づくテイ族の食文化を伝える、素朴でありながら深みのある一品なのです。
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