世界経済の先行きが不透明で、輸出や消費といった従来の成長エンジンが安定を欠く中、公共投資を「成長をけん引するてこ」として活用することは、ベトナムにとって重要な戦略となっています。現在は、資金の活用効率を高め、二桁成長の実現を目指すことが大きな課題です。
これまで公共投資は、執行の遅れや分散といった問題が指摘されてきましたが、近年は考え方と実施の両面で大きく改善し、規律や責任、成果を重視する方向へと転換が進んでいます。
実績と今後の方針
2025年は転換点とされ、公共投資の執行率は計画の約98%、金額にしておよそ336億ドルと過去最高を記録しました。規模の拡大だけでなく質の向上も見られ、民間投資や輸出が伸び悩む中、総需要の押し上げに寄与しています。多くの地方で計画を上回る執行が実現し、公共投資はもはや「ボトルネック」ではなく、効果的なマクロ経済運営の手段となっています。
今年第1四半期も順調に進み、執行額は約48億ドル、計画の12%に達し、前年同期比でおよそ10%増となりました。
4月24日にハノイで開かれた2026年公共投資資金の配分・執行加速に関する全国会議で、レ・ミン・フン首相は、公共投資は重要な政治的課題であり、二桁成長の原動力であると強調しました。2026年に約378億ドルの投資を実現するため、各省庁・地方は重点的に取り組み、効果の高い事業を選定し、「資金があっても事業がない」状況を排除するよう求めました。
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「各プロジェクトごとに執行計画を立て、執行が困難な事業から、執行能力が高く追加資金を必要とする事業へ迅速に資金を振り向けること。現場で発生する問題は主体的に点検・督促し、その場で解決すること。指導、管理、実施の各段階における課題を明確にし、速やかに対策を講じる必要があります」
こうした方針は、「配分」から「効率と実行力」への転換を示すものであり、公共投資を通じて実効性のある事業を生み出し、生産の促進や雇用創出、社会保障の確保につなげる狙いがあります。
成長を支える戦略的柱
権限と責任を一体で与える仕組みにより、地方の主体性が高まり、公共投資の執行は行政能力の指標ともなっています。ハノイ市では、4月23日時点で執行率が約25.7%に達し、全国平均を上回っています。ハノイ市人民委員会のブー・ダイ・タン委員長は、9月までに全額執行を目指し、約11%の成長を実現すると述べました。
(テープ)
「ハノイは2026年の公共投資を9月までにすべて執行することを目指します。その上で他の資金も追加し、総投資額を拡大し、成長率11%を達成したいと考えています。すべての部門と地方、事業主体に対し、執行の加速を求めます」
また、「人、仕事、責任、権限、進捗、成果」の6項目を明確にする原則のもと、各地で月次・四半期ごとの具体的な執行計画が策定されています。北部ハイフォン市では約600件の事業で約14億ドルを投じ、最低13%の成長を目指しています。
ハイフォン市人民委員会のレ・ゴック・チャウ委員長は次のように語りました。
(テープ)
「成長目標と配分された資金に基づき、各部門と地方の責任者は具体的な実施計画を策定しています。進捗を常に確認し、調整しながら、2026年の四半期および通年の成長率を最低13%とすることを目指します」
公共投資は現在、単なる需要喚起策を超え、成長を支える戦略的な柱へと進化しています。中央と地方の連携を強化し、効率的かつ集中的に資金を執行することで、実効性のあるインフラ整備を進め、民間投資を呼び込み、経済の基盤強化と持続的な成長につなげていく方針です。








