6月3日から5日まで、ハノイで、2026年〜2031年任期の第14回ベトナム労働組合大会が開催されています。今回の大会は、「団結・民主・規律・刷新・発展」という強力な行動メッセージを掲げています。これは、従来の支援や保護を中心とした活動から、主体的なデジタルトランスフォーメーション(DX)、生産性の向上、そして現場に寄り添う柔軟な組織づくりへと、活動の考え方を抜本的に変化する転換点となります。

2013年憲法第10条の規定では、「ベトナム労働組合は、労使関係および労働組合に関する国際関係において、国家レベルで労働者を代表する唯一の組織である」と明確に定められています。この法的地位の確立は、労働組合の役割をさらに高めるだけでなく、グローバル化が進む中で、これに対応するための早急な刷新を求めるものとなっています。

労働者を保護する能力と気概を備えた代表組織へ
ベトナムが新たな発展段階に入る中、ベトナム労働組合はかつてない要求に直面しています。労働構造は急速に変化しており、民間企業や非公式部門で働く労働者が増加しています。また、自動化や人工知能(AI)、デジタルトランスフォーメーションは、労働者の雇用、所得、職業スキルに広範な影響を及ぼしています。さらに、労使関係も市場原理に基づいてより本格的に機能するようになっています。

こうした現状から、労働組合には、単に労働者をケアする役割を果たすだけでなく、新たな環境において労働者を保護するための十分な能力、気概、そして現代的な手段を備えた代表組織となることが求められています。

2026年〜2031年任期の労働組合は、従来の啓発運動だけに頼るのではなく、「労働者を中心に据え、現場を活動の基盤とする」という包括的なアプローチへと移行します。具体的には、政策立案の段階や法の執行プロセスの監視において、対話や実質的な団体交渉を活用し、早い段階から労働者を保護していきます。同時に、デジタルトランスフォーメーション、科学技術、イノベーションを活動効率向上の原動力として活用します。

ベトナム労働総連盟のゴ・ズイ・ヒエウ副議長は、全国の労働者から大会に寄せられた数万件の意見や要望のうち、重点となる5つの課題について次のように述べています。
(テープ)
「労働者が非常に高い関心を寄せている課題の一つは、最低賃金を『生活可能な賃金』に移行させることです。これは労働者として極めて正当な要望です。生活可能な賃金が確保されれば、不測の事態に直面した際にも、生活上の課題を解決するための貯蓄や資金的な備えを持つことができます。 2つ目の課題は、2019年の国会決議にも盛り込まれている労働時間の短縮です。 さらに、一部の労働者、特に重労働や有害な環境で働く労働者の定年退職年齢の引き下げ、そして祝日の追加も重要な課題となっています」
組合員の拡大

第14回ベトナム労働組合大会において、第13期ベトナム労働総連盟執行委員会による草案は、各方面からの意見を反映した結果、「組合員数を実質的に少なくとも400万人増やす」という目標を掲げました。これは、意見公募前の草案に比べて100万人上乗せされた目標値です。この非常に挑戦的な目標を達成するため、現代の労働組合は2つの突破口を明確に定めています。

1つ目は「デジタル空間の開拓」です。労働者が情報を探したり、自らの思いを表現したりするためにインターネットを利用する機会が増える中、労働組合はネット上での存在感を主体的に高める必要があります。「デジタル空間に寄り添うこと」は、単なる技術的な解決策にとどまらず、適時な支援を行い、正確な情報を発信し、誤情報から労働者を守るための戦略的な任務です。

2つ目は「福祉向上のための生産性向上」です。労働組合は従来の「受動的な支援」という狭い考え方にとどまらず、生産力そのものの発展に寄り添います。労働者が主体的に学び、技術を習得して「デジタル労働者」となるよう促します。最も持続可能な支援とは、労働者の能力を高め、長期的な雇用を確保し、技術革新の流れに適応できるよう後押しすることです。これにより、各種の競争運動を活性化させ、「優秀な労働」を「高い生産性」と「良好な所得」に結びつけていきます。

2026年〜2031年任期におけるベトナム労働組合の新しい思考は、すべて「現代的で実質的、かつ労働者に寄り添い、高い適応力を持つ労働組合を構築する」という1点に集約されます。それは、共産党の指導のもとで政治的・社会的役割を堅持しながら市場原理のなかでダイナミックに活動し、当面の生活支援と長期的な能力向上の伴走を両立させ、権利を守りつつも創造性、貢献意欲、国家建設への責任感を呼び起こす、そのような労働組合の姿です。